2011/06/25

2011-06-25:カキラン

柿の実の色に似た色は「柿色」。
コトバの響きから、
どこかの地方で言われている色名のように感じていましたが、
歌舞伎の世界で使われているのも「柿色」のようで、
どうやら色名は全国共通、ということらしい。
橙色と混同しそうですが、橙色よりももっと紅い。
熟れた柿の色、と言うべきでしょう。
目分量で見て柿色だからと付けられたこの花の名は
もしも現代のようにどれがどの配分の色かメジャーで測るようにして見ると、
「カキラン」ではなく「ダイダイラン」だったかもしれません。

どうしてこんな話から始まったかというと、
母が「カキランの“柿色”って全国共通なの?」と聞いたからです。
でも、そう思って見ていると、
カキランの色は土の上、葉や茎の間など、
自然の色の中に溶け込んで意外と目立たないものなんですね。
同じオレンジの色目でも少し赤味が強くなるだけで
ヒメユリなんかはパアッと華やかだなぁと。
ま、それは、咲き方やカタチ、大きさによるところも大きいのでしょうが。

花の中をじいっと見てみると、唇弁の内側に紫の斑紋が。
こうすると、生き物のナマナマしい感じが伝わります。

姉は中学生のころに学校へ向かう坂道の途中で
咲いている柿色の花に気がついたそうで、
それがとてもうれしかったらしい。
学校に行く途中のささやかな喜びだったのでしょう。
でも、誰も、この目立たず、背の低い花に気づかない。
それで、その坂道の脇には、未だ変わらずカキランが咲いています。
姉にカキランのどこを好きなのか聞いても
「かわいいでしょ」というようなボンヤリとした返答しかありません。
なんとなく「誰も気づかない、私だけが知っている」という想いも
この花を好きだと思う理由なんじゃないかと、深読みしてしまうのです。

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